体験談
癒しの旅路 その14 父とのつながり
Fさんに2回目のスリーインワンのセッションを受けました。マイナス思考、対人関係のストレスなどを中心に話していきました。問題の原因を筋反射テストで聞いていくと年齢は5歳、関係者は父と母でした。
年齢遡行をするとぼくが5歳のとき、酒に酔っ払った父が母に手をあげた夜のことが出てきました。ぼくは二人の言い争う声に耳をふさぎ、布団に潜り込んでただ寝たふりをすることしかできませんでした。
次の日、ぼくは父に対する怒りを紙に書き連ねました。「父さんなんか大嫌いだ。いなくなってしまえばいい」など。別に誰に見せるでもない、ストレス発散の行為でした。しかしぼくの机にしまっていたこの紙を母が見つけ、父の仕事机に置いてしまったのです。
母はぼくに嬉しそうな顔で「置いてやったよ」と言いました。
当然、父は荒れました。「どうせオレなんかいなくなったほうがいいって思ってんだろ!」と怒鳴られました。
「なんでこんなことになるんだろう・・・」その場面を思い出し、涙がどんどん流れ出しました。
ここで「修正」を行いました。そして再びその場面を見ていくと父の笑顔が浮かんできました。ホントに不思議なのですが「修正」を行うとそれまでの暗いイメージが変化していくのです。
父も大変だった。祖母の手ひとつで育てられ、甘えることを許されずに育ち、家族の愛情を素直に求めることができずに苦しかったのだろう(ちなみに父の兄は還暦を越えた今でも奥さんの腕枕がないと眠れません。いかに母性に欠けた生い立ちだったかが伺えます)。そんな思いが浮かんできます。
Fさん「お父さんと何かしたいことはありますか?」
確執が生れる前、さらに幼いころに戻ってあの頃のように素直にスキンシップをとりたい。
こうしていっしょに生きていきたかった・・・。
イメージのなかで笑顔の父とふれあい、絆が蘇っていく・・・なのですがちらつくものがある。
母です。母がぼくと父とのつながりを妨げようとしている。ぼくは母に言いました。
「母さんが恨みを抱えているのは良くわかった。それは否定しない。でも自分は父さんの息子だから自分と父さんがつながるのを妨げるのはやめてほしい」
そしてぼくが父と母のあいだに立って両手をつなぎました。右に父、左に母。自分で選ぶ。母が戸惑おうが父が戸惑おうが自分の意思でそうする。自分で選ぶ。
Fさんも「そうすればお父さんもお母さんも変わってくるはずですよ」とのこと。母がどう思おうが自分で創る。自分で選ぶ。
新しい選択 関係は自分で創る
新しいひとり言 自分で創ろう
新しいふるまい 落ち着いて話す
このセッションの数ヵ月後、地元に帰ったときにぼくは父を飲みに誘いました。そしてはじめて自分のこと、仕事のことなど腹をわった話をしました。父も最初は戸惑い気味でしたが父として、先輩の社会人としていろいろ話してくれました。
かつての二人なら絶対に考えられないことでした。父との絆を取り戻した、とハッキリ確信した夜でした。
「全ての傷を癒すのはどんなセラピストであっても一生の仕事である」といわれます。心理療法にどれだけのことができるのかはまだぼくも模索中であり、明確な答えを持ちません。
でも、本人の意欲と適切な方法があれば絶対に無理と思えていた傷が癒えていくこともあるようです。
これは、そのあと姉とのトラウマと向き合うなかでさらに強く実感していくことになります。
ぼくに最も影響を与え、ぼくが心のそこで強烈な憎しみを抱え続けていた姉とのトラウマです。
